気ままに生きる
　あとね、なんでだか分からないけどお金も入ってこなかったから、行かなくていいやって思っちゃったんだよね。

　それでフィリピンから来たマイケル・ハノポル（解散後にフィリピンに戻り、ジョーイ・スミスとハード・サイケデリック・ロック・バンドのファン・デ・ラ・クルスを結成する）が代わりにベースに入ったんだ。自分は名前だけ貸してくれってね。でもうまかったよね、あのベース。そんなことでこのアルバムでは2枚組なのに2曲くらいしかやってないんだ。

　レコーディングと言えばこんな事件もあった。レコーディング中に隣のスタジオにフラワー・トラベリンバンドが入っていたんだ。見たらドラムを知っているやつが叩いていたから入っていったんだ。そうしたらちょうどレコーディング中だったんだよ。ドラムをレコーディングしてるって知らなくて、入っていっちゃったんだね。ドラムだけで音を録るやり方って昔はなかったから、練習してるのかなって入ってたんだよ。

　そうしたら、えらい人が俺のところにすごい剣幕で怒って来んだ。どうしちゃったのかなって思ったんだけど、よく分からなくて俺は戻って自分のレコーディングをしてたんだ。そうしたらジョー山中とかみんなで文句を言いに来たんだよ。俺はそれをへぇーって聞きながら何を怒っているのかなーって思ってたんだけど、実は俺のことだったんだよ。まあ確かにレコーディングの最中に入られたら、そりゃ怒るだろうね。俺はもうボケてたからよくわからなかったけど、その瞬間だけは覚えているよ。
< 69 / 203 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop