: 過去
「永倉さん…皆同じ気持ちです!平助と斎藤さんがいなくなってしまって、これからが不安なんです」


沖田の言い分に耳を傾けていた永倉は、胸ぐらにかかる手をほどき、舌打ちして部屋を出ていく


「……どうもあいつは、短気で困るな」


永倉がいなくなった途端、土方は言った


そんな彼の発言に、沖田は驚いた


でも次第と、見開いた双眼はゆっくりと細められていく


遂には笑いだしてしまった


「な、なんで笑ってやがる!?」


動揺しつつも、土方は必死に隠したつもりだった


でも、あわあわとしている姿が余程おかしいのか、彼の笑いは治まらない

***

しばらくして、沖田の笑いは治まった


だが、まだ残る笑い泣きした目で土方をみる


「短気で困るだなんて、土方さんに言えたことではありませんよ」


この青年の性質で優しい声音が、今日は随分と腹立たしい


「俺は短気なんかじゃねぇ!」


「……ほら、短気な人ほど否定するんです」


むっと行き詰まった土方は、沖田から視線を外した


彼の言ってることは、正論だからだ


「あれ?どうしました?土方さん」


「総司」


急に真剣身を帯びた土方の声音に、沖田は耳を傾ける


「伊東の離隊は局中法度に関わると思わねぇか?」


――あぁ…この人はまた


――そう言って、自分を鬼にしていく


そう心で毒づくと、満面の笑みで答えた


「局を脱するを許さず……ですね?」


「あぁそうだ。ならばこの件……慎重にいかねぇとな」


土方の声音に血の気が混じる

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