始末屋 妖幻堂
「旦さんはね、依頼内容と依頼人を、請け負うだけのものであるかを測った上で、受けるかどうかを決めるのさ」

「・・・・・・でも・・・・・・あたし、特に何も旦那様にお願いしてない・・・・・・」

 しゃくり上げながら言う小菊に、狐姫は懐から出した懐紙を投げて寄越す。

「事情を察せば、それで十分だろ。ま、だからこそ初めは、旦さんも言葉を濁したのさ。借金を返さないまま足抜けさせるのも考え物だが、かといって獣を相手にさせられるのを、黙って見過ごす事も出来ないからね」

 ちん、と小菊は、懐紙で鼻をかんだ。

「旦さんは、ヒトのくせに人道に外れた鬼畜が嫌いなのさ。人道に外れるなら、完全に物の怪になれっての」

 けけけっと笑う狐姫は、狐の物の怪だ。
 牙呪丸も同じく物の怪。
 自分たちは、人道に外れているということだろうか。

 小菊は改めて千之助を思った。
 一体彼は、何者なのか。

「そうこうするうちに、小太が攫われた。ここにあんたを連れ込んだのは小太だし、見過ごすわけにもいかない。それに、伯狸楼は、あちきらにも多少因縁があるからね。『ちょっと手を貸す』どころでは、なくなってしまったってこったよ」
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