始末屋 妖幻堂
「てことで、伯狸楼から逃げ出した小菊って子を庇ったせいで、小太は亡八にとっ捕まったかもしれないんだ」

「・・・・・・小僧一人いなくなったところで、特に困ることもあるまい」

「世間的にゃ、そうかもしれないよ。けどほら、そうそう、小太は旦さんの知り合いだし」

「そうだとしても、旦那が単なる知り合いってだけで、そこまで情をかけるとも思えん」

「そうだけどっ! 杉成と違って、小太は一度壊れたら、元には戻らんだろ。そもそも小太が今回の厄介事を持ち込んだんだ。あいつがいなくなったら、それこそただ働きだよ」

「・・・・・・む」

「あんたは何もしてないから良いかもしれないけど、呶々女はそれこそ廓にまで乗り込んで、何も手に出来ないんだよ?」

「むむ・・・・・・」

「それどころか、小太が見つからない限り、ずるずると廓にいることになって、そのうちほんとに客取らされちまうよっ!」

「わかった」

 呶々女の名を出した途端、牙呪丸は呆気なく頷いた。
 狐姫は、ほっとするよりも脱力してしまい、はぁ、と大きく息をついた。
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