執着王子と聖なる姫
「俺、シャワー浴びてくるわ」

腕を引き抜き、ベッドから抜け出す。ズボンを履いてロールカーテンを上げ、目指すは妹のクローゼットだ。そこから着替えになる下着とスリップを出し、手を差し出してやる。

「起きれるか?」
「ん…はい」

気だるそうに体を起こし長い髪をかき上げる姿は、もう立派に女だ。思わずゴクリと唾を呑むと、ブランケットで胸元を隠して座っているセナが小さく首を傾げた。

「どうしたんですか?」
「ん?あぁ、それ着てあっちのベッド行ってろ」
「どうしてですか?」
「んー?シーツ洗濯しなきゃなんねーから」

さすがに、このシーツをそのままにしておくわけにはいかない。それにコクリと頷いてベッドから降りたセナが、そのままぺたりと床にへたり込んだ。

「おっ、どした?」
「足に力が入りません」
「あれ?そんなにキツかった?sorry.」

そのまま抱き上げてやり、額に一つkissを落として頭合わせのベッドへと下ろす。

離すまいと首元に回された腕、スッと閉じられた瞼。

ごくごく自然にそんなことをするものだから、さすがはハルさんの娘だと思わざるを得ない。天然何とやら、だ。

「なにー?誘ってんの?」
「大好きです、マナ」

強請られて応じないわけにもいかない。そのまま唇を重ねると、パチリと瞼が開いた。

「マナ…」
「んー?」
「大好きです」
「知ってる」

再び溶け合った温度が、数時間前の甘い疼きを蘇らせる。脳の奥が、ジンと痺れるような感覚。これはクセになりそうだ。


「I love you」


着替えたスリップの中に手を忍び込ませると、快感を覚えた体はすぐに反応を示す。笑いを噛み殺しながら続けると、ふぅ…っと甘い吐息が耳元で聞こえた。

「もう少し休め。シャワー浴びてくるから」

くしゃりと髪を撫で、畳んだままのブランケットを掛けてやる。

よほど眠かったのだろう。洗濯物を抱えて俺が部屋を出る時には、既に寝息が聞こえた。
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