執着王子と聖なる姫
暫く愛斗の背中を見つめた後、メーシーは諦めたようにふぅっと息を吐いて苦笑いをした。驚きよりも納得が強いのは、相手が愛斗だからだろう。
察しが良い上に、判断力も気遣いもある。そりゃモテるわけだ…と、そんな悠長なことを思いながら、メーシーはいつもの笑い声を零す。
「いつから気付いてたの?」
「ん?あっちに居た頃から」
「そりゃ凄い。恐れ入るよ」
そう素直に称えれば、愛斗は何やら複雑な表情を浮かべた。
「俺、メーシーの子…だよな?」
「俺の顔、見てごらん?」
栗色に近い柔らかな髪、切れ長の、それでいて優しげな目元、スッと通った鼻筋に、形の良い唇、キメ細やかで透けるように白い肌。
違うことと言えば髪型と瞳の色くらいで、どこからどう見ても遺伝子の恐ろしさを感じるくらいに目の前の父にそっくりな自分の姿。
じっと見つめられながらもにこにことしているメーシーを斜め上方に見ながら、愛斗は「ふっ」とどこか自嘲気味な笑い声を洩らした。
「だよな」
「残念だけど」
「別に残念じゃねーよ?俺、メーシーのこと好きだし」
そう言って愛斗が笑えば、そっくりなメーシーも笑う。
そんな親子の穏やかな時間を、無遠慮に邪魔する人物がいる。
察しが良い上に、判断力も気遣いもある。そりゃモテるわけだ…と、そんな悠長なことを思いながら、メーシーはいつもの笑い声を零す。
「いつから気付いてたの?」
「ん?あっちに居た頃から」
「そりゃ凄い。恐れ入るよ」
そう素直に称えれば、愛斗は何やら複雑な表情を浮かべた。
「俺、メーシーの子…だよな?」
「俺の顔、見てごらん?」
栗色に近い柔らかな髪、切れ長の、それでいて優しげな目元、スッと通った鼻筋に、形の良い唇、キメ細やかで透けるように白い肌。
違うことと言えば髪型と瞳の色くらいで、どこからどう見ても遺伝子の恐ろしさを感じるくらいに目の前の父にそっくりな自分の姿。
じっと見つめられながらもにこにことしているメーシーを斜め上方に見ながら、愛斗は「ふっ」とどこか自嘲気味な笑い声を洩らした。
「だよな」
「残念だけど」
「別に残念じゃねーよ?俺、メーシーのこと好きだし」
そう言って愛斗が笑えば、そっくりなメーシーも笑う。
そんな親子の穏やかな時間を、無遠慮に邪魔する人物がいる。