執着王子と聖なる姫
「俺の我慢がどこまでもつかねー」

後悔したのだけれど、やはりその手は止められない。掴むと言うよりも撫ぜる。そう言った方が正しい。

肩紐をプチンと外すと、いとも簡単にそれは上半身を露わにした。そのままそっと擦り下げ、骨盤に引っ掛かる辺りで一度止める。下着が見えるか見えないか。そんなラインだ。

「色っぽいねー。綺麗な白」

色白のセナには、やはり紅がよく似合った。ちゅっと胸元に口づけ、背中を撫ぜる。そろそろ目を覚ましてくれないと、本格的にヤバいかもしれない。いや、ヤバい。限界ギリギリだ。

「ん…」

身動いだと同時に、骨盤に引っ掛けていた布がスルリと抜け落ちた。モゾモゾと足を動かすものだから、それは完全に無い物となってしまう。

「黒?」

よく短いワンピースなどを着ているけれど、さすがに下着の色までは見たことがない。洗濯物を漁るわけでもあるまいし、お目にかかる機会など無いのだ。

「セナ、起きろ?そろそろマジでヤバいよ?」

背中から太ももの裏側にかけての曲線をなぞりながら、耳元でそう囁く。
さすがに違和感に気付いたセナが、ゆっくりと瞼を持ち上げて言った。

「マナ…もっと…」

覚醒しきっていない頭では状況が飲み込めないのか、それともわかった上での言葉なのか。どちらにせよ、望まれればしてやりたくなる。それが男だろう。

「セナ、起きなきゃ食っちゃうよ?」
「赤ちゃん…」
「ん?」
「マナは赤ちゃんですか?」

ちゅうっと吸い付くと、小さく短い声が洩れる。

「マナ…」
「気持ち良い?セナ」

これはどうにも止められそうにない。だからもっと強請って、もっと欲しがってほしい。

「もっと言って。そしたらもっとしてやる」
「マナ…大好きです」
「ホント可愛いね、お前は。今自分がどんな格好してるかわかってる?」

見えやすいように体を離してやると、ギュッと胸元にしがみ付かれた。気付いてしまえば、同時に羞恥も襲ってくるらしい。
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