COLORS~Clear~
『ん?あぁ。透子は?』
「大丈夫。ひとりだから」


ささやかな、抵抗。
さすがに、ペースを乱されっぱなしも癪で。

でも…。


『良かった。じゃあ、話せるな』


もしかしたら、勘繰りすぎてただけだったのかもしれない。


「え、ぇ…」


郁サンの声は、優しくて。


『メール、見た』
「あっ、うん……」
『サンキュー。大丈夫。けっこうぐっすり眠れた』
「そう。良かった…」
『ただ。やっぱり、後悔はしたけど…』
「えっ?」
『透子からのメール見て。やっぱり、帰すんじゃなかったって』
「!」


囁くような。
甘い声…。

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