COLORS~Clear~
お湯がシュンシュンと沸く中。
霧島クンの視線を感じながらお茶を点てるのは、慣れないせいか、緊張感も微妙に漂っていて。


「いいですね。手順も。きれいでした」


私が点てたお茶を口に運んでの、霧島クンの言葉に。


「ありがとうございます」


私は少し、ホッとする。

でも…。

やはりどこか、霧島クンの表情は曇っていて。


「優しいですね」


霧島クンはそれを悟られたくないのか。


「優しい…」
「そう、僕には感じられます」


大人の顔を、私に向ける。


「いいお茶だと思います」


いつも以上の。
“大人の顔”を…。


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