COLORS~Clear~
「…ありがとう」
「それじゃあ、もう一度。今度は一つ一つ、細かく見て指導していきますね」


気のせいじゃない。
今日の霧島クンは、やっぱりいつもと違っていて。

今このタイミングで、


―訊いてみようか?


もし、私が聞いてあげられることなら…、思ったけど。


“………………”


いつも以上にしてみせる、大人の顔。


「はい」


私はそれを飲み込んで。
口にするのをやめた。

訊いてもきっと、彼は答えないだろうし。
聞いて欲しくもないんだろう、思って…。

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