COLORS～Clear～

そして…。


「こんばんは。今日もお願いします」
「あ…、はい…」


週が明けて、稽古の日。


「この間は、手帳ありがとう。慌ただしく帰ってしまって…。ごめんなさい」


私は、いつも通り…。
いつも以上に、普通に挨拶をして。


「いえ…」
「ケータイ。郁ｻﾝからだったから、つい慌てちゃって」
「…えっ？」


私らしくもない。


「忙しい人だから、なるべくすぐに出たくて。ごめんなさい…」
「……いいえ」


いつもなら話さないような事を。
わざわざ説明するかのように、口にしていた。