COLORS~Clear~
ちゃんと見ているようで。
見ていない。

気持ちは、稽古にはなく。

ただ、戸惑いだけが。
その視線に含まれていた。

切ないほどに…。

確かに何かが動いた。
あの瞬間。
なのに、いつもと変わらない。
私の落ち着いた態度。

きっと、霧島クンには理解出来ないんだろう。

それに。

自信も…。

あの時。

ゆっくりと、探るように、だったけど。
私へと伸びてきた、霧島クンの手…。

もし、郁サンから電話がなかったら。

その手は、私の頬に。
触れていたはず…。

それは。
霧島クンも、きっと感じている。

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