カローレアの金
バサバサッと羽音がした。
ジャンはうたた寝をしていたらしくその羽音に少し驚く。
「あれ、帰ってきたのお前だけ?」
アンに帰ってくるようにという意味を込めて鷹を飛ばしたが、肝心のアン本人は帰ってこない。
「…ん?手紙?」
ジャンは鷹の足にくくりつけられている手紙に気づく。
アンが手紙なんて珍しいな、そんなことを思いながら手紙を外す。
しかしそれはアンの筆跡ではなかった。
「…っは、城…だと?」
ジャンはその手で手紙を握りつぶしていた。
「お父さん」
ジルが小屋に入ってくる。
「…お父さん?」
「ジル、悪ぃな、ちょっとお前の小屋にいる野郎どもを呼んできてくれ」
「う、うん…」
戸惑いながらもジルは駆けだす。
「おうお頭、どうした?ジルがお頭の様子が変だって呼びにきて…」
「俺、女王陛下様から手紙もらっちまったよ」
「…は?」
意味が分からない、という顔をされる。まあ無理もない。
「アンが、城にいるらしいぞ。王国の城に」