カローレアの金

「『格技大会』…だってよ親父」

「お‼今回の優勝賞品は何だ?」

「えーっと…賞金と兵隊への入隊許可…だってさ。受け取り拒否は不可能、どちらも受け取ること…」

「ちっ。賞金は欲しいが入隊には興味無ぇ」

「…私出ようかな」

「はあ?」

ジャンは頭の後ろで手を組んだ。


「『格技大会』ってよ、何でもありのケンカみたいなもんだろ?そこで力試ししてみてぇなぁ…」

「…出場条件は?」

「十五歳以上の男子」

「無理だな」

「いける」

ジャンは組んだ手を離して、アンを見据えた。

「アン、お前は女だろ?一応。それに優勝しちまったらどうする?」

「ばれねぇよ。優勝しそうになったら負ければいいだろ。それか途中で抜ける。」

「そういう問題じゃ………。いや…」

ジャンは額を叩きながら考え始めた。
そして指を鳴らし

「いいこと思いついた。この大会でひと儲けするか」

「できんのか?」

「ああ。お前が頑張ってくれればな」

「…今は作戦聞かないでおくよ。ジルがいる」

アンはきょとんとしているジルを見て、ジャンの話を止めた。

そしてジルを椅子から下ろし、こっちだ、と手を引っ張る。


「何だよお前、ジルのことなんだかんだ可愛がってんじゃねーか。アン姉ちゃん」

「黙れクソ親父」

アンはジルと共に小屋を出て、その斜め前にある小屋へと向かった。



< 6 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop