甘い誓いのくちづけを
「……もしかして行きたかった、とか?」


「え?どこにですか?」


キョトンとするあたしから、理人さんは僅かに視線を逸らした。


それから少しの間を置いて、綺麗な形をした唇がゆっくりと動き出した。


「英二と、食事……」


片言に近い説明を口にした理人さんに、思わず目を見開いてしまう。


「違いますけど……。あの……あたし、もしかして何かしましたか?」


「え?」


さっきまでと反して、今度は理人さんが不思議そうな顔している。


「……理人さん、ちょっと怒ってませんか?」


「え……?」


不安に思って恐る恐る訊くと、理人さんが目を見開いた。


そんな表情まで綺麗な彼を前に、つい視線を逸らしてしまった。


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