甘い誓いのくちづけを

「いただきます」


「どうぞ」


両手を合わせて英二さんに笑顔を向けた後、お箸を取って煮物らしき料理に手を付けた。


綺麗に切られた里芋を口に運ぶと、途端に口腔に広がったのはほのかな柚の香り。


「美味しい！」


それが驚く程に美味しくて、あたしは声を弾ませて瞳を輝かせた。


「良かった」


「英二は、料理の腕前だけは最高なんだ」


「“だけは”は余計だろ、全く。休日手当て、がっつり付けといてやるからな。後で覚えてろよ」


英二さんは憎まれ口を叩いて、あたしに柔らかい笑みを向けた。


「じゃあ、瑠花ちゃん。ごゆっくり」


「はい。ありがとうございます」


満面の笑みで頷きながらも、あたしの視線は美しい料理に釘付けだった。