甘い誓いのくちづけを
「彼には、君は勿体ないよ」


緩められた瞳が、あたしの瞳を優しく、だけど力強さを秘めて見据えている。


そんな視線とともに与えられた言葉は、あたしにそれ相応の勇気を持たせるのに充分な力を持っていた。


あたしは深呼吸をした後、制止したままの右手でリングに触れた。


ゆっくりと外したリングに未練が無いと言えば、間違いなく嘘になってしまう。


だけど…


最近の文博の態度は、男性(カレ)の言う通り“おざなり”って言葉がピッタリだった。


それを思い返すと、薬指から離れたリングに未練を持つのは、バカバカしい気がする。


リングを箱に戻せば、あたしの薬指に収まっていた時よりもしっくりしているように見えて…


虚しさに包まれた心が、ほんの少しだけ救われた。


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