甘い誓いのくちづけを
「あの……あたし、彼女じゃないですよ……?」


「えっ!?」


本気で驚いたらしい英二さんの態度を益々不思議に思っていると、彼は「マジかよ」なんて言いながらあたしを見た。


「まだ付き合ってなかったんだ?」


「まだって、そんなっ……!」


自分の気持ちがバレたのかとドキッとして、慌てて視線を逸らす。


その後で、そんなはずは無いと自分自身に言い聞かせ、必死に平静を装った。


「へぇ、あの理人がねぇ……」


意味深な言葉を零した英二さんが何を言いたいのかは、あたしにはわからなかったけど…


「あの、明日って理人さんの誕生日なんですか?」


何とか心を落ち着かせてから顔を上げると、彼がハッとしたように頷いた。


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