甘い誓いのくちづけを
一瞬だけ訪れた沈黙に、妙な違和感を抱く。


英二さんはそれを誤魔化す為なのか、すぐに柔らかい笑顔を見せたけど…


不自然なタイミングでのその好意的な表情は、逆にあたしの疑問を大きくした。


「あの、理人さんのお仕事って、宝石関係なんですよね?」


「まぁ、そうなんだけど……」


「じゃあ、海外のプロジェクトって?」


「えっと、もしかして仕事の事も聞いてないの?」


「何度か尋ねた事はあるんですけど、いつも上手くはぐらかされちゃうんです……」


ため息混じりに小さく頷くと、英二さんは申し訳なさそうに微笑んだ。


「それなら尚更、詳しい事は理人に訊きなよ。理人が黙ってるなら、残念だけど俺から話せる事は何もないから」


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