甘い誓いのくちづけを
「あっ、あたし……」


言葉を探すあたしを、理人さんは揺るぎない瞳で見つめている。


「理人さんの事……まだ全然知らないから……」


それに少しだけ怯んで逸らし掛けた視線を、何とか留めた。


「家族の事や過去の事、それから……仕事の事も……」


ずっと抱いていた疑問を、必死に紡ぎ出す。


「それに……理人さんは素敵な男性(ヒト)だけど、あたしは……」


“知らないから”抱いている不安と、“知っているからこそ”感じる不安。


「理人さんに釣り合うようなものは、何もありません……」


それらはとても複雑で、理人さんを好きだからこそ簡単に消す事は出来そうに無い。


そんな気持ちを伝えようと、彼を見つめたまま続けた。


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