甘い誓いのくちづけを
「だから……もう少しだけ時間を下さい……。ほんの少しだけでいいんです。お互いの事をたくさん話して、もっとちゃんと知ってから……」


「ダメ。もう待てない」


あたしの声を低く遮った理人さんは、どこか怒っているようにも見える。


それは当たっているのか、彼が珍しく不機嫌そうに眉を寄せた。


「……俺がどれだけ待ったか、わかる?」


「え……?」


「瑠花ちゃんに会いたくて堪らなくて、1分でも1秒でも早く会う為に必死に仕事を片付けて……。ようやく時間が出来た今日、他のどこにも行かずに真っ先に君に会いに来たんだ」


理人さんの眼差しは、あまりにも真っ直ぐ過ぎて…


ほんの一瞬視線を逸らす事すら、許してはくれなかった。


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