甘い誓いのくちづけを
―――――――…



車に戻ると、理人さんは優しい笑顔で迎え入れてくれた。


夜の街を抜ける車内で、彼に色々と話し掛けられたけど…


助手席に座った瞬間から体を包んでいた極度の緊張によって、まともな返事すら出来なかった。


それでも、帰省していた事と電話に出られなかった理由だけは何とか告げると、理人さんはホッとしたように笑っていた。


程なくして、高級そうなマンションの地下にある駐車場で車が停まった。


ポルシェに乗っているくらいだから、住んでいる場所もそれに劣らないのかもしれないとは思っていた。


だけど…


庶民が予想出来る範囲を遥かに超えた立派な建造物に、これ以上大きくなりようが無いと思っていた緊張がピークを越えてしまった。


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