甘い誓いのくちづけを
「え……っ……んっ……!」


驚く暇も無く唇を塞がれたのは、エレベーターのドアが閉まる寸前の事だった。


突然の事に目を見開いて、瞼を閉じるのも忘れてしまう。


「っ、ん……り、ひとさっ……!」


いつもの理人さんとは違う、どこか荒々しくて強引なキス。


付き合ってからは、会う度に何度もキスをしたけど…


あたしの欲情を強引に呼び起こすようなキスは、たぶん初めてだった。


だけど…


「ん……っ、ぅん……はっ……!」


奪い尽くそうとするキスに恐怖心や嫌悪感は無くて、むしろその甘美な感覚に酔い痴れてしまう。


何度も激しいキスを与えられてようやく唇が解放された時、あたしは自分の力だけで立つ事が出来なくなっていた。


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