甘い誓いのくちづけを
ずるい、と思う。


それなのに…


理人さんがあまりにも楽しそうに笑っているから、唇を尖らせる事すら出来なくなってしまう。


「り……」


ゆっくりと深呼吸をしてから彼を見れば、優しい笑みが返された。


「理人……」


何とか小さく呟くと、真っ赤だった頬がもっと熱くなるのがわかった。


目を合わせているのがとてつもなく恥ずかしくて、咄嗟に視線を逸らそうとしたけど…


理人さんがあまりにも幸せそうに微笑んだせいで、そのタイミングを完全に見失ってしまった。


「おまけで、80点にしてあげるよ」


無邪気な笑顔に、胸の奥がキュンと締め付けられる。


その顔がもっと見たくて、あたしはただその一心で再び口を開いた。


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