甘い誓いのくちづけを
―――――――…



運ばれて来た二杯目のカクテルに口を付けた直後、理人さんへの様々な疑問が頭に浮かび始めた。


厳密に言えば、“さっきから抱いていた疑問を口にするのを忘れていた事を思い出しただけ"なのだけど…。


「あの……」


「ん?」


「質問してもいいですか……?」


控えめに尋ねたあたしに、理人さんはまた優しい笑みを見せてくれた。


「どうぞ」


婚約破棄のショックなのか、アルコールのせいなのか…


あたしの胸は、理人さんの優しい笑顔に驚くくらい簡単にときめいてしまう。


それを隠すように、カシスオレンジを半分程飲んだ。


そして、相変わらず優しく微笑む理人さんをチラリと見てから、ゆっくりと口を開いた。


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