甘い誓いのくちづけを
「ん、っ……」


小さく漏れたあたしの声を合図に、バスローブの胸元から理人さんの手が侵入して来た。


柔らかい肌触りとは違うその感触に、意図せず体が跳ね上がる。


初めてこの部屋に泊まった翌朝、このバスローブは理人さんがあたしの為に用意しておいてくれた物だと知って、とても嬉しかった。


あたしには敷居の高いブランドの物だけど、彼が愛用している物とお揃いだと気付いた時には、もっと嬉しくなった。


「……他の事を考えてるなんて随分余裕だね?」


「えっ?……っ!」


唇を離して不満げな顔をした理人さんに小首を傾げると、彼が空いた方の手で背中を撫でた。


ゆっくりとしたその動きに、思わず背筋が伸びて体が強張ってしまう。


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