甘い誓いのくちづけを
「詳しい事はよくわからないけど、どうしてそんなに落ち込んでるのよ?そりゃあまぁ、瑠花は『玉の輿よ!』なんて両手(モロテ)を挙げて喜ぶタイプじゃないだろうけど……。それでも、そんなに暗い顔をする程の事じゃないでしょ?」


「何か、色々考えちゃって……」


あっけらかんと言って退けたさゆりを羨ましく思いつつ、ため息混じりに答えた後で温(ヌル)くなったコーヒーを一口飲んだ。


普段からの立ち居振る舞いや持ち物、それから住んでいるマンション。


それらを見れば、理人さんがそれなりの地位の男性(ヒト)だって事は、さすがに気付かない訳が無くて…


現に専務だという事を聞いた時も、御曹司だと理解した後も、彼なら納得出来ると素直に深く頷けたくらいだった。


だけど…


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