甘い誓いのくちづけを

「バカね……」


結局、抱いている不安を言葉にする事でほとんどの事情を説明してしまったあたしに、さゆりは呆れたように眉を寄せた。


「不安になる気持ちはわかるわよ。でも、理人さんが自分の事を隠してた理由も、間宮さんとの関係も、結局は本人に訊くしかないでしょ」


「そうだよね……」


「前にも言ったけど、あたしは瑠花の味方よ。だから、一人で勝手に変な想像ばかりしてないで、ちゃんと本人に理由を訊いて来なさい」


さゆりは優しく微笑むと、壁掛け時計を確認して休憩室を出た。


「それにしても、瑠花から理人さんの話を聞いてただ者じゃないとは思ってたけど、まさか御曹司だったとはねぇ……」


フロアに戻る途中、隣を歩く彼女がそんな事を呟いていた。