甘い誓いのくちづけを
フロアに戻ると、榊原課長と目が合ったけど…


課長は何も言わないどころか表情一つ変えずに、再びパソコンに視線を落とした。


「さゆり、ありがとう」


「お礼はいいから、早く元気になってね?」


さゆりは柔らかい笑みを浮かべ、一足先に自分のデスクに戻った。


相変わらず腑に落ちないままだし、不安も消えていない。


ただ、今日こそはちゃんと理人さんと話そうと、心に決めた。


あの日の夜から毎日掛かって来ている電話に、ずっと出られずにいたけど…


このままの状態が良くないのは言うまでも無いし、不安だけどちゃんと話を聞きたい。


それに…


何よりも、今は理人さんに少しでも早く会いたいと思うから――…。


< 388 / 600 >

この作品をシェア

pagetop