甘い誓いのくちづけを
これからどうしようかと悩んでいるうちに、目の前にいる相模さんの存在をすっかり忘れてしまっていて…


「あの……」


彼に声を掛けられた事に驚いて、肩をビクリと強張らせてしまった。


「あ、申し訳ありません……」


「いえ……。あたしの方こそ、黙り込んでしまってすみません」


頭を下げたあたしに、相模さんが柔らかい笑みを浮かべて首を横に振った。


「差し出がましいとは思いますが……」


「え?」


何を言われるのだろうと首を傾けると、ゆっくりと続きが紡がれた。


「専務なら、そろそろご自宅に着かれた頃かと思いますよ」


相模さんはどうやら、あたしがこれからどうするのが最善なのかを、暗に教えてくれたみたい。


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