甘い誓いのくちづけを
小さめのボリュームで流れるオルゴールの音色が、数秒間だけ訪れた沈黙を包む。


「あいつが二十歳(ハタチ)の頃、親から告げられた事にショックを受けて自棄(ヤケ)になってた事があってさ……」


“親から告げられた事”……?


恐らく敢えて肝心な部分を濁したのであろう英二さんに、深く訊いてもいいものなのか悩んだ。


だけど…


「親から告げられた事、って……?」


あたしは一瞬だけ考えた後、控えめながらも疑問をしっかりと口にした。


「ごめん、それは俺からは言えない。俺が言う事じゃないし、何よりも理人自身から聞くべき事だと思うから」


「そうですよね……」


一度瞳を伏せてから小さく返すと、英二さんは申し訳なさそうに微笑んだ。


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