甘い誓いのくちづけを
「あの……」


「うん、わかってる」


戸惑いながらも口を開いたあたしの言葉を遮って、英二さんがフッと笑った。


「確かに、『出会った』って言うと語弊(ゴヘイ)があるんだ。だって、その頃の君はまだ理人の事を知らないはずだよね?」


「はい……。でも、えっと……」


「要するに、“理人が一方的に君を知った”って事だよ」


頭の中を整理出来ずにいると、英二さんはわかり易い言葉に変換してくれた。


だけど…


やっぱり、すぐに理解は出来なかった。


それに、もし英二さんの言葉が本当に真実だとしたら、あたしと理人さんがホテルのラウンジで出会ったあの時には、“理人さんはあたしの事を知っていた”という事になる。


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