甘い誓いのくちづけを
「だから……あの時は理人に止められてなかったら、うっかりこの事をバラしてたと思う」


「あの時の理人の必死さは、本当に見物だったな」なんて言いながら呑気に笑った英二さんを余所に、さっきから心の中で燻っている疑問を紡ぐ。


「あの……あたしの事、どこで知ったんですか?」


どこで会ったにしても、あたしはそんなに印象に残るようなタイプじゃない。


理人さんや英二さんみたいに目立つ容姿な訳でも、それ以外に人を引き付ける魅力がある訳でも無いから…。


重々自覚している自分の事を考えながら、疑問が解決する事を待っていたけど…


「それも、俺からは言えないんだ……。ごめんね」


英二さんはやっぱり申し訳なさそうに笑って、伝票に手を伸ばした。


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