甘い誓いのくちづけを
「そろそろ行こうか。あんまり瑠花ちゃんを引き止めると、後で理事長と子ども達に怒られるから」


わざとらしく冗談めかして笑った英二さんは、あたしがこれ以上何かを言うのを遮ったようにも見えた。


それでも、次々と芽生えて来る疑問を解決したいあたしには、彼の行動を受け入れる事は出来ない。


「教えて下さい……。理人さんは、どうしてあたしに何も話してくれなかったんですか?」


その答えを聞くのは恐かったけど、ずっと不安に思っていたからこそ事実が知りたい。


「……英二さんは、その理由を知ってるんですよね?」


だけど…


「それこそ、俺が言える事じゃないよ」


英二さんは意味深に小さく笑って、そのままレジに向かった。


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