甘い誓いのくちづけを
「あ……たし……っ、ずるいんです……」


支離滅裂なあたしの言葉に、理人さんは耳を傾けてくれている。


初対面でこんな話に付き合わされている事に、内心ではうんざりしているのかもしれないけど…


いつの間にかあたしの背中を撫でてくれていた理人さんからは、そんな感情は微塵も伝わって来ない。


布を隔てて伝わる温もりがあまりにも優しくて、そこに縋り付いてしまいたくなる。


「どうしてずるいと思うの?」


数分振りに口を開いた理人さんから出たのは、さっきのあたしの言葉に対する疑問。


あたしは震える唇を動かして、何とか答えを紡いだ。


「だっ、て……文博の気持ち、知ってたのに……知らない振り……っ、してたから……」


こんな自分(アタシ)は、ずるいに決まっている。


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