甘い誓いのくちづけを

「しなくてもいい我慢をして手に入れたものは、きっと簡単に壊れてしまう……」


苦しげにも見える微笑みとともに零されたのは、やけに意味深な言葉…。


まるで理人さん自身が、それを経験したかのような言い方にも聞こえた。


だけど、今はその真意を問う余裕は無くて、彼を見つめる事しか出来ない。


「瑠花の我慢が、二人の未来の為のものなら良かったのかもしれない。だけど、身勝手な彼のせいで君だけが傷付いていけば、いつかは瑠花の心が壊れていたと思うよ……」


もっともな言葉を受け入れるように、小さく頷く。


だけど、涙は止まらなかった。


だって…


身を焦がす程の恋じゃなかったけど、文博への想いはちゃんと本物(ｺｲ)だったから…。