甘い誓いのくちづけを
大手チェーン店のカフェに行き、店内の二階の奥のテーブルで向かい合って座った。


ここに来るまでの会話はほとんど無く、あたし達の間には気まずさが漂っている。


「何か、本当に久しぶりだな」


「……うん」


ようやく口を開いた文博を真っ直ぐ見る事が出来ないまま、ゆっくりと小さく頷いた。


年明け早々に別れたあたし達は、実際9ヶ月振りに会った事になる。


しかも、あたしにとっては予期しない形での再会だから、こうして戸惑うのもきっと無理は無い。


ただ…


今気になっているのは、目の前にいる文博の事よりも、もうすぐ空港に着くであろう理人さんの事。


文博と別れてからまだ1年にも満たないのに、あたしの気持ちは確かに理人さんに向いているのだと、改めて気付かされた。


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