甘い誓いのくちづけを
息をフゥと吐いた文博が、どこか困ったように微笑む。


「勘違いするなよ、瑠花を責めてる訳じゃないんだ」


言われなくてもそんな風には思っていないけど、それでも罪悪感が芽生えてしまう。


「むしろ、責められるべきなのは俺の方なんだから」


切なげに歪んだ表情があたしを見つめ、ゆっくりと笑みを浮かべた。


「ただ……」


そこで言葉を止めた文博が、あたしの瞳を真っ直ぐ捕らえる。


「瑠花の気持ちが見えなくて、いつだって不安だった。だから……浮気をしたのも結局は瑠花の気を引きたかっただけで、『浮気相手に本気になった』なんて嘘をついて、瑠花が泣いて引き止めてくれる事を期待してたんだと思う……」


彼は自嘲を孕んだ笑みを落とし、カップに口を付けた。


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