甘い誓いのくちづけを
理人さんと、彼の両親。


その間には、確かにお互いへの深い愛情があった。


「よく考えてみれば、血の繋がりがない事を理由に『お前に貴島の会社は継がせない』って言われてしまうのが何よりも恐かっただけだ、って事に気付いてね……」


そして…


「でも逆に言えば、それだけ貴島の会社を継ぎたいと思ってるって事なんだとも気付いた」


両親に対する尊敬の念や、心に抱いていた信念も…。


だからこそ、理人さんが両親と向き合う決意をしたのだという事は、もう彼の口から聞かなくてもわかったけど…


「だから、その足で両親に会いに行って、自分の気持ちを伝えたよ」


穏やかな声で紡がれた言葉に、思わず満面の笑みになる程の喜びが溢れた。


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