甘い誓いのくちづけを
―――――――…



19時に始まったパーティーの会場は、21時前になってもまだ賑わっていた。


ここに入ってからは、理人さんはもちろん、間宮さんや甲斐さんとも一度も会話をしていない。


「瑠花ちゃん、疲れたんじゃない?」


「大丈夫です」


笑顔を見せたものの、慣れないピンヒールで立ち続けているのは、実は結構つらかった。


「ねぇ、瑠花ちゃん。俺、コーヒーが飲みたいんだけど、下のティーサロンでも行かない?」


すると、英二さんがあたしの気持ちを見透かすように、そんな提案をしてくれた。


「じゃあ……」


「行こう。この下のティーサロン、コーヒーも紅茶も美味いんだよ」


英二さんは微笑みながら、あたしの背中をそっと押した。


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