今さらなのよ!
盛名はフッと笑って言葉をつなげた。


「敵対していたとはいえ、地球人ではない女性。
それも若い女は貴重な存在だ。
基本的な能力も持っている。

それに、少し偶然を装って話もしてみたが・・・とてもいい娘だ。」



「そのいい娘を悲しませようと、おまえは目論んでいるんだろ。
彼女にも兄貴にも危害を加えようとするなら俺が許さない。」



「今のおまえなど、相手にならんな。
もちろん、おまえの兄もだが・・・じつはな、俺も彼女を悲しませたくはない気持ちはあるんだ。

何も見えなければ、今頃どこか外国で嫁探しをしていたところだ。」



「何も見えなければ?それはおまえの能力か?」



「ああ、かなりの高確率の予知夢を見た。
おまえの兄は、事件にまきこまれてかすみを傷つける。」



「事件って何だよ。かすみちゃんをどう傷つけてしまうんだ!
兄貴は優しいのが取り柄といってもいいほど、人を傷つけるなんてありゃしない。」



「優しい奴は時として、残酷なことだってある。
それが証拠におまえの優しさがいちばん彼女を苦しめているかもしれない。」



「俺が・・・?そんな・・・。」




「その顔は心当たりがありそうだな。
まぁいい。そういう心理戦は好きな方だしな。」




「なぁ、おまえの夢はいつ本物になるんだ?
それだけは知っておきたい。」




「無茶をいうなよ。いつだとわかっていれば、かすみに告げてるよ。
わからないから、おまえに話した。
何かあったら名前を叫んででも助けを求めると思うがな。

そんなうらやましい男には強くあってもらわないとつまらないんだよ。」
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