今さらなのよ!
賀川盛名はそう言ってすぐにいなくなってしまった。


「あいつ・・・なんだっていうんだ!何者なんだよ。」



そして、隆祐が職場の受付に差し掛かったときに、何者の答えがわかった。



『君の命令は絶対なんだ・・・。』

そんなキャッチフレーズの化粧品会社のポスターに「賀川セイナ」という名前とさっき隆祐が会った黒髪の青年の横顔が載っていたのだ。



「も、モデルだったのかよ!」



しかも超能力のある・・・。

隆祐もさすがに胸騒ぎを感じずにはいられなかった。



帰宅してから隆一の様子も見ていたが、とくに変わったことはないようだったが、隆祐が寝る前に水を飲みに台所へ行くところで隆一の変化を感じた。



(こんな時間に誰と電話でしゃべってるんだろう・・・。
かすみちゃんじゃないな。)




隆一は女性と思われる相手に脅されているように隆祐には見えた。
ただならない空気を感じたのと賀川セイナの予知夢の話で隆祐は自分の部屋にもどると、電話の声に意識を集中させた。




「酔ってたからわからないは済まさないわよ!
間違いなく、3カ月前の同窓会で山野辺クンは私を抱いたの。
DNA鑑定だってできるわよ。

それでもまだ、私が嘘つき呼ばわりするんなら、明日あなたの勤務先の屋上から飛び降りてやるから!」



「そんな・・・学校には来ないでくれ。
病院で鑑定するのは立ち会うから、責任だってとるから学校には・・・。」




(な!・・・・・兄貴が・・・かすみちゃん以外の女と・・・。)
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