今さらなのよ!

毎夜話していても、隆祐はかすみを独占しようという言葉は決して言ってくれないのがかすみにとっては不安の要素だった。


(学生の男の子でも『おまえは俺の女だ』とかって言うのにどうして隆祐さんはそんなこと言わないの?)



(ああ、学生のときにはね~そんなことを口走ったこともあるんだけど。
なんつ~か・・・大人になってしまうとね、社会的責任ができてしまってうっかり口走れなくなってしまうんだなぁ。

俺、もうすぐ中間管理職になっていくと思うし、かすみちゃんのこともなんかおやじさんと同じような目で見てしまうときがあるというか・・・。)



(やだ。おっさんくさい!)



(そう・・・だね。けど、それが現実の俺だし。
ごめん・・・俺のことダメって思ったらかすみちゃんがいいと思う男と付き合ってくれてかまわないから。

あ、誤解しないでほしいけど、かすみちゃんのこと嫌いになったんじゃないからね。
だから俺、こうして話をしてるんだし。
でも、すぐに俺のとこに来いって言えないでいる。
ごめん・・・弱虫で。
かすみちゃんに目覚めさせてもらった力も持て余して迷ってばかりで、不安なんだ。
こんな状態では、大人の男としては・・・ね。)



(そっか・・・。私わがままは言わないよ。
隆祐さんが浮気しまくったら怒るけど、隆祐さんもいっぱい不安を抱えてるのはわかるからお互いにがんばろう。)



(うん、今日は・・・おやすみ。)
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