千尋くん、千尋くん
「……………」
「……………」
「えっ……ぁ、ぅ」
扉の前で、アゴがはずれそうなくらい大口を開けたまま固まっている、誰か。
モデルみたいな180近い高身長に、緩くパーマのかかった黒髪。
面影のある整った顔立ち。
誰かっていうか、たぶん、おそらく、あたしの勘だと……。
「ち、千尋くん……もしかして?」
「……これ、一番上の兄貴」
もう一度、千尋くんに移した視線を、扉前の彼に戻す。
千尋くんにベッド上で抱きしめられたまま。
保護者同然である千尋くん家の長男さんと、ご対面です……。