千尋くん、千尋くん









お父さんは、あたしに会いに来る途中だった。










朝、何事もないようにいつもどおり朝ごはんを食べて会社に出たお父さんは、実はかなりあたしの合格発表を気にしていたらしい。





だけど、年頃のあたしにうざがられるのが嫌で、全然興味のないふりを装っていた。




あたしには内緒で、今日は仕事が早く終わったからと嘘をついて、お昼には家に帰ってくる予定だった。





そして、そのままたまには家族みんなでおでかけして、あたしの合格祝いをしようって。







お母さんとそんな計画を立てていたと、のちにお母さんから聞いた。








その帰ってくる途中で、あたしのために早引きをした途中で、大型トラックと衝突事故を起こしたんだ、と。









その日から、たった3人だったうちの家族から、大切な1人が欠けてしまった。







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