レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
「……わかった」


「…ふふ、ありがとう」


そう言うと、りさは顔を上げて俺の頬に軽くキスをした。


「私、体流して来るわ」


「一緒に入る?」


「…ふふ」


りさはクスクス笑いながらシャワールームに入って行った。


その後ろ姿を見送ってる時浮かぶ言葉。




レンタル彼氏は。



「………残酷…か」


りさに言われた言葉を考えてると、急にそのことを思い出す。
泉はレンタル彼氏を残酷だと言った。


好きなのにそれを突き飛ばす。
レンタル彼氏はやっぱり残酷だ。


陳腐な愛のセリフなんか何度も囁いてきた。


何度も何度も客から好きだと言われた。



だけど、りさの言葉の重みには勝てなかった。


りさは俺に何を求めているのだろうか。
よく、わからない。


体?
心?

全部…?
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