レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
ほら、彼女の前でだけ赤ちゃん言葉になる奴いるじゃん。
まさにゆうにゃん…、いや、雄三郎はこれ。

名前もそうだけど、見た目もいかつくて、チンピラにしか見えない彼がゆうにゃん。


本当、夢なんてなくすよ。
この職業。

男なんてアホらしくなる。


「もしもし、美佳ちゃん、電話遅いよ!」


「ごめんごめん、お出かけしてて気付かなかった」


「どうせ、男だろー?」


「はは、何言ってんの?ゆうにゃんだけじゃん」


「じゃあ、美佳ちゃん、俺のこと好き?」


「…好きだよ」


「ふふ、俺も好き」


好きって。


なんだろう。



毎日、擬似恋愛をしていく内にわからなくなっていた。



電話を切ってから、私はまたメールが来てることに気付く。

…誰だよ、もう。


そう、思いながらカチカチと押すと相手は社長だった。

「げ、社長」

口から本音がもれる。

誰も聞いてないくせに、咄嗟に口を塞ぐ。



なぜか、あの社長なら聞いていそうな気がする。
< 393 / 472 >

この作品をシェア

pagetop