レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
泊まればいいと言った私を断って、伊織は帰って行った。
とりあえず連絡先だけ交換して。


伊織のいなくなった部屋で、私はタバコにまた火を点ける。


それから携帯に手を伸ばした。
チカチカと光る携帯を開く。

メール受信十件。

「……はぁ」

私は眉をひそめて溜め息をついた。


今回の客、まじだるい。



カチカチと未読メールを読み進める。


【美佳ちゃん、今何してるの?】


【美佳ちゃん。
お風呂入った?】


【美佳ちゃん。
好きだよ】



こんな内容ばかり、延々と。

悪い人ではないし、リピーターだし、クセがあるけど、セックスもまあまあだし。

でも、このやり取りが本当だるい。


元々、マメではないからキャバ嬢でなくこの職業を選んだというのに。



レンタル彼女というこの、職業を。



メール返信を出さずに私は電話をかける。
ワンコールで出る相手に、猫なで声を出す。


「あ、ゆうにゃん?」


ゆうにゃんと言わないと、怒られるからしょうがなくそう言う。

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