ネクロフィリア【加筆執筆中】
「あ、気にしないで。
昔から使ってるし、そんな綺麗なものでもないから」


そんな顔をモロにしていたんだろう、俺にそう言うと強引に腕にハンカチを当ててくる。


「あ」


声を出すより先に彼女のハンカチが俺の傷口に当たった。
綺麗なハンカチに滲む、俺の血液。



「ご、ごめん…」


どうして謝ったのかはわからないけど、言わなきゃいけない様な気がしたんだ。


それに彼女はふふっと微笑むと

「何で謝ってんの?」

そう言った。



それから「自分で切ったの?」と俺に尋ねた。


眉を顰めながらでもない。
訝しげな顔もしていない。


それはまるで今日のご飯何?と俺が母親に尋ねるような、有り触れた質問のように聞こえた。
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