組対のデカ
 最初警察は転落死した長谷川が遺書などを残した以上、自殺と踏んでいたが、自殺に見せかけた他殺だとも考えるようになった。


 そう考えると、長谷川が大塚会の構成員である北川から弱みを握られていて、それが故にビル屋上から落とした可能性が濃くなってくる。


 しかも大塚会の大阪支部に五年前の二〇〇七年七月、大阪府警捜査四課の捜査員がガサ入れした事実も判明していた。


 大量の押収品が府警の地下にあるらしい。


 仮に警察が北川を取り逃がせば、威信に関わる。


 当面の捜査方針としては、例の積荷検査後に西新宿署に設置された帳場で待機中の北山院たち警視庁のデカたちに長谷川転落死の事件を追わせるのと同時に、全国のマル暴たちに北川を追わせることを確認して上層部の了解を得た。


 署の捜査本部には退職警官転落死事件の看板が掛かっていて、北山院たち警視庁の刑事数名が待機した。


 さすがに警視職にいて、警視庁でも数え切れないほどの難事件を解決してきたデカですら、退職したマル暴が自殺と見せかけられて殺害された今回の事件に関しては難しいと思っているようだ。


 俺たち組対は町岡たちが自供するまで取り調べるのだが、勾留は一定期間過ぎれば解け
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